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第三回最適運動性能を引き出す車輌パーツのアセンブリング技術開発

当該技術の現状

「車輌の主要パーツを、どのような設定と条件で組み合わせれば、最適性能が発揮できるか?」という問題は、市販車輌の各メーカのあいだでも組み合わせ機構そのものが違うことからわかるとおり、経験と手探りの状況にある。

 下記の図のような構成になっている。

1,モデル (GSX-R1000 K7)

2,SUZUKA 8h 使用マシン

GSX-R1000 K7
スイングアーム
リンクシステム
減衰量の変化による角度変化(スイングアーム先端)
スイングーアーム図1
スイングーアーム図2
 スタンダードのテスター
1,大西 敬紀 (国際A級)
2,秋吉 耕佑 (07 鈴鹿8耐優勝、SUZUKIワークスライダー、07 日本GP参戦ライダー)
大西 敬紀
秋吉 耕佑
研究開発の必要な理由
1,市販車輌において、パーツのアセンブリングに関するデータが公開されていない。
2,種々の組み合わせ機構について、総合かつ客観的に検討された技術資料がない。
3,当社はオートバイの大きなレースへの参加を含めて約20年間モータースポースに携わり、さらにバイク部   
  品を製造販売している。これまで当社は、バイク部品単体についての性能向上に関する詳しい研究を実施し
  て成果を得てきた(詳細は添付資料「これまでの検討内容、ならびに結果についての概要」をごらんくださ
  い。)
  しかしながら、部品単体の性能向上がそのまま車輌全体の運動性能の向上へ結びつかないことを実感してお
  り、車輌パーツのアセンブリング技術開発の必要性と重要性を痛切に感じている。
4,大量生産を行う大手メーカではできない細やかな製作技術と問題点・改良点のすばやい対応力により、既成
  の概念にとらわれない新しい技術開発を行いたいと考えている。
 

まず最大のテーマである、転ばない車体

スライド ハイサイドの前や、その操作時に車体に動きが分かりやすい車体

それには スイングアーム リアサス リンク タイヤの状態を把握していなくてはいけない。

別紙 図面②でもわかるようにさまざまなパーツ構成によって成り立っている。

別紙 図面③より角度をかえることによって減衰量の変化がわかる。

まずこのデータと人(ライダー)が体で感じる動きの違いを寄せる作業とベースの必要があったが0点を0にする必要性はなく、人がどのようなコメントに対してどのようになっているかがわかるほうが大切という感がある。

 

研究開発の成果

車輌パーツのアセンブリングに関する定量的なデータが明らかになり、走行条件に最もマッチする設定条件を自分でセットすることが可能となる。

 バネの過重→重さが分かる
    過重→重すぎる
    荷重→物体に作用する力
1,ライダーの技量でも変わってくることがわかった。
2,車体全体でもホイルベースによっても乗り味やリンクの動き ライダーの感じ方に違いがあるのがわかっ
  た。
3,同じ車体(バイク)でもタイヤの変更などでも車体の動きやタイム→ 安心感が変わってくることがわかっ
  た。
ここで開発された技術のコンセプトは、四輪車への転用はもとより、「より振動の少ない車椅子の開発」など福祉車輌への転用が期待される。
※車椅子などのダイレクト構造だと人にかかる負担も大きいのもわかったが、ダイレクトのメリットは、車椅子は手の運動により動くため、サスペンションやリンクシステムがあると動きを吸収してしまう。イコール手の力運動の負担が増えてしまうというデメリットがあることがわかった。
 
スイングアーム 仕様について

スタンダードに対して50mmのロングでのHEAT MAGIC スイングアームを
①スタンダード長
②スタンダード + 50
③剛性ちがい
の3タイプ用意し、秋吉選手に合うスイングアームの開発をしました。

 

①のスイングアームは剛性感が足りなくて、コーナーの進入でよれる感じがあるとのことで評価は普通でした。

 

①に対して ②は剛性感もよく、問題であった進入のよれも解消したとのことでした。

それに対して当社のとった行動として、チェーンを1リンクつめてホイルベースを短くしました。そのことにより、よい剛性やコーナーフィーリングが得られたということで、秋吉選手の活躍により、HEATMAGIC 製スイングアームの方向性が出て、製品のフィードバックにも多大なデータが収集できました。

 

以上を踏まえ、あらためて私、大西が色々な角度からスイングアームをテストしてきましたし、私との違いや感じ方、バイクのプロセスの違いも知ることができました。

目的

バイクの安全でより高度な運動性能を引き出すことによる需要の喚起、開発した技術の各分野への転用、若い人材の新たなるものづくりへの参画の喚起。

・二輪車における最大のテーマである、転ばないバイク

・転びそうになったら人体に伝わるバイク

 

内容

・現在市販されているバイクのアセンブリング機構に関し、各構成要素(コイルスプリング、ダンパー、リンク機構等)の負荷応答特性を詳細に定量化した上で、懸架装置部全体としての最適設定条件に関する検討を行う。

・検討結果に基づいて製作したテスト車輌をロードレースで実践走行させ、実証試験データの収集と解析を行ってフィードバックさせ、開発レベルを向上させていく。

このテーマにリアリンクシステム、オリジナルスイングアームにより実証する。

例えば氷の上を想定して人は滑る危険という前提で動作をおこなうと意外と転倒などの危険を回避できる。バイクも同じ安全なバイクとはメカニズムも必要だが人が本来もっている感覚や洞察力を養う必要もある。

どんなに優れたメカニズムでも最終的には人が操作し人の判断でしか機能しないからである。

このことを踏まえて研究した結果

・作り手が良いベースとなるものの追求をまずやる。

・システムや構造、材質の徹底管理

・ロードレースやテスト走行によるデータの蓄積をストリートコースにフィードバックする。

・ロードレースでは市販車がベースとなっていることからデータがとりやすい。

・レースではスリックタイヤやレーシングサスペンション、いろいろなパーツは違うがリンクシステムは基本的には同じである。何故変更するかはストリートでの開発時にストリートスピードとレーシングスピードの違いによるリア周りの動きの違いや、剛性の良し悪し、バンク角度の違いがある。

・この変化の違いも、人それぞれで違いが出てくる。

期待する効果

・鈴鹿市は世界大会可能なコース条件を持つサーキットを有するモータースポーツの町であり、サーキット周辺には長年モータースポーツを支え続けてきたノウハウと技術を持った中小工場が点在している。研究開発で得られた技術とより良質で購入しやすい製品の開発は商品提供に止まらず、これら地元中小企業へのアウトソーシングとしての還元が可能である。また停滞感のあるレース人気の復活、活性化のためには、一般観戦層の増加、若いライダーの増加が必要であるが、この技術開発から生まれる地域の連携を通して、レースに参加しやすい環境を整え、若年層の選手の育成を図り、モータースポーツの街鈴鹿市の活性化につなげて行きたい。
特に、四輪レース最高峰、F1の開催に関する不確定要素を考慮すると、鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)に代表される二輪レースの位置づけが、今後モータースポース宣言都市として非常に重要な鍵となると考えられる。

・研究開発においても鈴鹿工業高等専門学校(鈴鹿高専)と連携することにより、より若い学生、人材の感性を生かした夢のあるものづくりと、これからの鈴鹿市のものづくりを支える人材の育成につながると考えている。高専は15歳~20歳までの若い年齢層を対象とした実践的技術者を育成する専門学校であり、ソーラーカーレースやエコランレースなどにも学生が積極的に取り組んでいる。平成16,17年度の本プロジェクトでは、鈴鹿8耐に多くの学生が参加して貴重な経験と成果を得た。このように、ここに申請する事業には、教育的な要素と効果が含まれており、それは時間をかけて地元へ返還されると期待される。

これらのデータの蓄積がストリートからレーシングまでのセッティングや開発にあたって、スタートから良い方向に向かってものづくりが出来ると確信できます。

ロードレースや8耐などの過酷な条件の中で、より安全でより早く走ることが出来るベースのデータ収集が出来たと思います。

今年度‘08 も8耐参戦を予定しております。このデータを踏まえてより良い製品づくりをしていきたいと思っております。

おわりに

今回は鈴鹿高専の先生、生徒さんたちには多大なる参加をしていただき感謝しております。

各ご先生方のご理解につきましても感謝いたしております。今後とも、ご指導のほどよろしくお願いいたします。

ありがとうございました。

(有)オオニシ ‐ ヒートマジック
〒513-0826
三重県鈴鹿市住吉町8279
TEL.059-375-2333
FAX.059-375-2358
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